これは今から10年以上前に勤めたスナックに来ていた常連「ポパイ」のお話
ポパイは先輩キャストの「つるさん」が好き
私から見たポパイは高身長で細身、顔のパーツ(特に鼻)が大きくて頭髪は薄め。
年齢は覚えていないが確か当時で40を過ぎていて独身だったと思う。
先輩キャストの「つるさん」のことが好きでポパイとは一回りくらい年が離れていたような気がする。
ポパイはつるさんに会いに来る時には小さい小さいブーケを持って現れる。
そして「つるさんの為だけ」にケンタッキーやらお菓子やらの差し入れを持ってくる。
もちろんママっていうのはすんなりお気に入りの子をつけたりなんかしないわけですよね。
他のお客様についている、つるさんの代打に新人の私が立ち向かうわけです。
物腰柔らかで優しくて話しやすいポパイ。
本業は飲食店で働いていた私、食べ物の話で盛り上がったのをよく覚えています。
そしてポパイに言われたのです。
「出会うのがもう少し早かったらあなたでも良かったんだけど」
やはり、ぽっと出の新人はベテランキャストつるさんには敵いません。
えぇそりゃ敵いませんよ。
・・・・・・・待って、私は立候補したのか?いつしたんだ?そんな話したのか?食べ物の話をしていたはずだ。
「一緒に行きましょう」とかいう流れにもなっていない。
そもそも議題は「これはこう食べるのが美味しいよね」とかいうお家で食べるちょい足しB級グルメみたいなものの話。
「残念ですね」
そう言うしかないし、咄嗟にそれが言えた私は仕事を果たしたと思う。
ポパイの暴走
そんな感じでポパイの危うさにも気づきながら、日が経つうちに慣れていくもので。
ポパイはお店終わりのつるさんを待ち伏せしたり「僕と結婚するなら」という条件をつるさんに勝手にメールで送りつけたりどこのスナックでも一度は生息しているような危ないやつに成長を遂げていた。
ある日のこと、またつるさんまでの繋ぎに私がお相手させていただいたところ、
「俺にはギャップがない」と嘆き始めた。
「どういうこと?」と尋ねると
「顔が怖い人がその辺にいる猫を可愛がったら意外性があるけど、僕が可愛がっても普通だ」
「だな」
としか思えない風貌と信じられない昭和な例え話。
そしてポパイは泣き始めるんだ。
意外性が欲しくて泣く40過ぎのおじさん。
泣くほどギャップが欲しいのか、でもそのギャップがあってもつるさんはポパイを好きになりはしない。
ポパイに必要なのはギャップじゃないんだ。
何て慰めたかは覚えてないし、ポパイがその後どうなったかも分からない。

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